いなべの里の蕎麦

いなべの里の蕎麦

いなべ市は三重県一のそばの作付け面積を誇ります。いなべ市はそばの花の開花期の気温が比較的冷涼で昼夜の気温の差が大きく、そばの受粉や結実にとって良い条件の気候です。いなべ市でそばの花が咲く10月の平均気温は18℃。一日の気温の差も大きく冷涼でそばの実が熟すのに最適です。

この気候条件を活かし、2002年から始まったそばの栽培、生産。現在では三重県一の生産量となりました。また、市民による手打ち蕎麦技術の習得も盛んとなり、100名を越える市民が素人そば打ち段位を取得しています。

ぜひ、いなべの里の蕎麦をお楽しみください。


いなべ市

いなべ市は三重県の最も北に位置する自治体で、西を滋賀県、北と東を岐阜県に接しています【Googleマップで表示 https://goo.gl/maps/sC11L】。市の西に鈴鹿山脈、東に養老山地がそびえ、中央を北から南に員弁川が流れています。いなべ市役所員弁庁舎の標高は海抜77mですが、市内の最高地点は鈴鹿山脈の約1180mで、冬期は日本海から伊吹山を超えた卓越風も吹き込み、寒さも厳しく1mの積雪記録も残っています。

市の面積は約220km2で約4万6千人の住民が暮らしています。主な産業は製造業で製造品出荷額は四日市市、鈴鹿市、亀山市に次いで県内4位です。一方で農業も元気で、市内の耕地面積は2,760haですが3%弱の農地でそばを作付けしています。


Q:いなべはそばの産地なの?

A:いなべ市のそばの生産面積は85ha(2010年)で三重県No.1。ナゴヤドーム18個分のそば畑が広がっています。

9月から10月にかけて、いなべ市藤原町山口、大安町片樋など、市内いたるところで白く可憐なそばの花を見ることができます。赤い花もどこかにありますので、発見してみてください。

年度別そば生産面積(いなべ市)

年度別そば生産面積(いなべ市)

いなべ市では平成20年からそばの生産面積が飛躍的に増えています。これは、『いなべの里の蕎麦』が、甘みがあり香りも高く高品質!と太鼓判を頂き受注が一段と増えたためです。この高品質は、そばの生産者が集う『いなべ市蕎麦生産部会』が『そば栽培暦』や『玄そば出荷基準』を共有することで、収穫されたそばの粒と水分をそろえる等、そばの品質の均一化に取り組んだ結果です。


Q:どうして『いなべ』でそばなの?

いなべの里の玄そば

いなべの里の玄そば

A:キーワードは、(1)自然環境、(2)サル対策、(3)地域おこし

(1)いなべ市はそばを育てるのにぴったり!

そばは沖縄、北海道の北部を除く日本各地で栽培することができます。2010年の栽培量の多い順に、北海道、山形県、福島県、福井県、長野県となっており、産地に共通していることは開花期の気温が比較的冷涼で、昼夜の気温の差が大きいことです。この条件はそばの受粉や結実の効率にとって欠かせません。いなべ市の10月の平均気温は18℃と冷涼で、一日の気温の差も大きく実が熟すのに最適です。

また、そばは水を嫌う性質があって、灌漑用ため池に依存するいなべ市の稲作農業にとって、生産調整作物である麦、大豆に続く第三の作物として有望だったからです。

(2)サルは知らないそばの味!

いなべ市にはこれまで、そばを作ってきたという歴史や食文化はあまり 残っていません。このため、サルもそばを食べる機会はなく、その味を知ら ないと考えられます。サルは用心深い動物なので、新しい食べ物に挑戦する には相当の時間がかかりそうです。これが猿害対策につながっています。

(3)そばを使って地域おこし!

そばには、不思議な魅力があり『そば会』を開くと、多くの友人や知人が集まってきます。その集まりではそば打ちだけでなく、だしづくり、そばの盛り付けなど多くの作業があり、教え合い協力し合うことによって自然と仲間になっていきます。さらに、そば仲間が集まって開催される『そば祭り』といったボランティア活動などが加わって、『地域づくり』に発展していきます。その先駆的な事例が、富山県南砺市(旧利賀村)での『そば祭り』です。なんと、雪で閉ざされた旧利賀村には、人口の20倍を超える方々が来場されます。

また、素人がそば打ちを極めるため、全国の麺類文化を通じて地域間の交流を推進する協議会(全麺協)が創設した『素人そば打ち段位認定制度』があります。現在、西日本でいなべ市から一番近い試験会場は兵庫県三田市となっています。当日の受験は三田産のそば粉が使用され、また、事前練習にも三田産の粉が使用されるなど、地元で採れたそばの消費に一躍か っています。いなべ市でも段位認定試験の開催を目指しています。

南砺利賀そば祭り(富山県南砺市)

南砺利賀そば祭り(富山県南砺市)

佐久間そば祭り(静岡県浜松市)

佐久間そば祭り(静岡県浜松市)

素人そば打ち段位認定試験(兵庫県三田市)

素人そば打ち段位認定試験(兵庫県三田市)


いなべ市でのこれまでの取り組み例

平成16年度から、市内の小学校8校が『地産地消子どもの元気づくり事業』として、そばの栽培からそば打ちまで取り組みました。

小学生を対象にした『そば撒き体験』

小学生を対象にした『そば撒き体験』

そば打ち体験

そば打ち体験


-初出:いなべ市情報誌Link 2011年9月号

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