第5回いなべの里新そば祭り
〜そばを通じた人と人、地域と地域の交流〜
開催レポート
2014年11月9日(日)、第5回いなべの里新そば祭りがいなべ市員弁運動公園を会場に盛大に開催されました。当日の天候は雨でしたが、会場はたくさんのそば好きの人びとで賑わいました。今年の新そば祭りには8つのそば打ちグループが出店し、全てのお店でそばが完売。いなべ産そば粉も午前中に完売しそばの人気の高さが伺えました。三重県南部や県外など、遠方からもたくさんのお客さんが雨の中お越し下さいました。
ステージイベント
開会式
9:30~
日沖いなべ市長、水谷いなべ市議会議長、唐橋一般社団法人全麺協理事、箱崎全麺協素人そば打ち段位認定制度全国認定審査員、川瀬いなべ市そば祭り実行委員会委員長が出席し開会式が行われました。日沖いなべ市長から多くの来場者を歓迎する旨の挨拶を頂き、唐橋全麺協理事から第1回そば祭りから開催に協力をしていることと、手打ちそばを食べられるお店がいなべ市に増えることを期待しているとの要望を頂きました。
大安寿太鼓
9:45~、12:45~
大安寿太鼓は平成4年に三重県員弁郡大安町(現いなべ市)で発足した市民で構成する伝統芸能団体です。これまでに各地域のイベントで演奏し、オーストラリアでの海外演奏、奈良県の大安寺での奉納演奏なども経験しています。新そば祭りでは三曲の創作曲を演奏。この創作曲は地域の棟上げや披露宴などのおひらきには必ず唄われたという北勢伊勢音頭の心意気を通わせた曲から構成されています。壱の曲「若囃子舞(ワカハヤシマイ)」、弐の曲「獅子(シシ)」、参の曲「寿翔(ジュシュウ)」で構成され、太鼓の他、笛、鉦、獅子舞が含まれ、全体にお囃子調の明るく楽しい曲になっています。
そば打ち実演
唐橋名人 10:15~ 箱崎名人 13:15~
ステージ上のメインイベント、会津の唐橋名人、神戸の箱崎名人によるそば打ち実演が行われました。
箱崎名人からは、5年前から始まったいなべのそば祭りとの携わりや、会津ソバトピアが発足し会津若松市でそばが3億円産業に育った経緯などの説明も交えながら、そば打ちの本髄を各工程ごとに丁寧に解説をしながら実演を行っていただきました。一番の肝心処は水回しで、全体の蕎麦の出来の8割を決めるとの事でしたが、麺棒の使い方やそば切りは絶妙な調子でさすがプロという腕前を披露いただきました。
箱﨑名人からは、いなべ産のそば粉に惚れ込んで込んでから7年がたち、5年前の第一回のそば祭りも含めずっといなべの里の蕎麦の振興を支援していること、今年で第3回となる素人そば打ち段位認定会の審査員も引き受ており、100人を超えるいなべ市内の素人そば打ち段位有段者のほとんどの方の審査をしていることを紹介いただきました。また、2か月に1回のペースで箱崎名人のお店のある神戸市や福知山市から三重県にそば打ちの指導やそば粉の買い付けに来ており、いなべとは切っても切れない状態との説明がありました。そば打ちの実演は、さすがに毎日そばを打っておられる方ですので火の打ちどころのない手つきと流暢な話術で見学者を楽しませていただきました。
箱崎孝治名人(蕎麦屋一孝庵:兵庫県神戸市)
神戸市出身。神戸電鉄在職中にそば打ちと出会い、2004年に神戸市北区でそば屋「一孝庵」を開業。さらに、2014年には京都府福知山市に元庄屋さんの家屋を改装したそば料理屋「一孝庵 かやの家」を開店。
石挽きで自家製粉したこだわりそばを提供しており、2008年からいなべ市産のそばを購入。香りがよく甘みがあり美味しいと太鼓判を押している。
そば屋を経営する中、一般社団法人全麺協の西日本支部の顧問として、関西を中心に手打ちそばの普及や、各支部の加盟団体が行うそばまつりの企画に携わり、精力的に地域おこしを応援。全麺協の「素人そば打ち段位制度」の全国認定審査員でもあり、2013年11月にいなべ市で開催された段位認定会では審査委員長に就任。
唐崎宏名人(あいづ桐屋:福島県会津若松市)
福島県山都町出身。地域の特産物のそばを使ったそば屋を起業し、会津若松市内で手打ちそば屋2軒とそば打ち道場、製粉工場を経営。
会津のそばの普及に努めており、地元の市町村や農協、商工会議所、そば生産者などを一同に会した「会津蕎麦トピア会議」を組織し、「日本一のそばの郷づくり」を合言葉に多彩な活動を展開。会津そばの地域への広がりや全国的なブランド発信に努めている。日本そば博覧会や各地のそば祭りなどで、そばに関する講演を実施。そばの新品種である「会津のかおり」を福島県の農業試験所と共同開発。会津のそばを名実ともに地場産業へと発展させている。
一般社団法人全麺協副理事長として、そばの栽培指導やそばまつりの開催指導など、そばによる地域おこしを手がける。全国のテレビ・ラジオの地域づくりの番組に出演される一方、そば打ちのビデオや本を出版。
そば早食い大会
12:00~
いなべ産そば粉を使用したそばを5分間で何杯食べれるかの競争です。毎回人気のイベントで、出場者は朝10時の受付の30分前から並び始め、早くも10時5分には出場者12名が決まりました。
6名ずつ2班に分かれ、12時から大会をスタート。優勝者は一杯150グラムのそばを11杯と108グラムの賞味1.6キログラムを平らげ、来年も挑戦すると言って帰られました。
早食い大会に提供されるそばもいなべ市産。藤田農園が収穫したそば粉を製麺したものです。優勝、二位、三位までに賞品が贈られました。
そば振る舞い
第5回いなべの里新そば祭りには8つの団体が出店。いずれの店にも長蛇の列が出来て各地の特色あるそばを振る舞いました。
ふくいそば打ち愛好会:福井県福井市(板津明会長)
400年の味の越前おろしそばをメインに提供。越前おろしそばは辛味のきいた大根汁と薄味の醤油だしを麺の上にざっぷりとかけていただく独特のおそばです。そばは栄養素を多く含む穀物ですが、特にビタミンB1が豊富。越前おろしそばはビタミンCを多量含む大根おろしを加えることで、さらに栄養豊かなそばになります。約700食を提供をしました。
なにわ天下茶屋そば打ち倶楽部:大阪市東淀川区(梶谷清会長)
【http://tenchasoba.omiki.com/】
すだちそば、きつねそば、とろろこんぶの入った慶こんぶそばなどを提供。麺の特徴は二八そばだけでなく更級粉を使い季節に合わせた代わりそばや、そば粉のブレンドを行っていること。約200食を提供しました。
特定非営利活動法人 がんばらまいか佐久間:浜松市天竜区(今泉尚人代表)
今回が初参加のがんばらまいか佐久間。開催数16回の佐久間新そばまつりの開催地からの参加です。当日はいなべ産の新そば粉を用いた打ち立てのそばをはじめ各産地のそば粉を用いたそばを提供。約200食を提供しました。
唐橋名人、箱崎名人も店頭でそば打ちを披露。またたくまにそばが打ち上がっていきました。
神戸手打ちそばの会:神戸市(本間太代表)
神戸手打ちそばの会は多くの素人そば打ち段位の高段位保有者が所属しており、そばの出来映えは抜群。蕎麦屋一孝庵の箱崎名人も指導しています。今回は暖かいかけそばとえび天そばの二つのメニューを用意。約500食を提供しました。
紗羅餐倶楽部丸の内道場:名古屋市(服部隆塾長)
【http://teuchi-soba.jp/marunouchi】
お隣愛知県からの参加。塾長を務めるのは名古屋市などで手打ちそば店を経営する服部さん。積極的にそば打ちの普及活動も進められそば打ち教室も開催しています。新そば祭りではいなべ産の新そば粉を使用したにしんそば、きのこそば、ざるそばなどを用意。約400食を提供しました。
宝塚専心会:兵庫県宝塚市(小林朗子会長)
小林素人そば打ち5段位を中心とした技術力の高い団体。約300食を提供しました。
みえきた手打ちそば同好会『蕎友会』:三重県いなべ市(坂口正人代表)
今回初参加。毎週いなべ市藤原町鼎にある農産物開発施設を用いてそば打ちの練習を進めてきました。新そば祭りではいなべ産の新そば粉を用いた暖かい花巻そばを用意し、約200食を完売しました。
いなべ市蕎麦打ち同好会『雅』:三重県いなべ市(清水隆徳会長)
本ホームページの管理者。初回から参加している地元いなべ市の団体です。今回はいなべ産新そば粉を用いた暖かい天ぷらそば、冷たいぶっかけそばなどのメニューを用意しました。
今年採れたいなべ産の新そば粉を材料に、会員総出で前日からそばを打ち始めました。日頃の練習の成果を発揮するとともに、出来映えが悪いそばは会員がお持ち帰り。自信のあるそばしかお客様には提供しません。冷蔵保存してそば祭りに備えたそばは新鮮です。
店先には開店直後から長い行列ができ、会員は役割分担しながらそばを振る舞いました。合計約420食を用意しましたが午前中には完売しました。
その他のそば関連イベント
そば打ち名人談話
箱崎名人10:15~、唐橋名人13:15~
箱崎、唐橋の両そば打ち名人が、そばに関するあらゆる質問に回答しました。そば打ちなどの技術的な質問から、そば屋の開店秘話まで。そばの品種、そば打ち技術の向上、各地のそば祭りの魅力、十割そばの打ち方、世界のそばメニュー、世界のそば生産事情等、様々な質問が飛び交わされました。
箱崎名人からは、そば打ちの技術は毎日一回打つよりも一日に数回打つ方が上達する、地域のそば打ち同好会に所属するのが上達の早道といったなどのアドバイスがされました。箱崎名人の経営される蕎麦屋一孝庵【http://www.ikkoan.com/】では各地のそば粉を使っており、そば粉の特徴に応じた水の量を見極めているとのこと。プロならではのお話を伺うことができました。
会津若松市であいづ桐屋【http://kiriyasoba.co.jp/】を経営する唐橋名人は世界各国のそば料理を紹介。日本でもそばと日本酒は合いますが、イタリアではワインにとても合うそば料理があるそうです。パスタのタッリアテッレの様な平たいそばにチーズと溶かしバターをかけた料理などを紹介しました。そば切りだけでなく、いろいろなそば料理にも挑戦してみたいものです。参加者からの質問の十割蕎麦が短く切れる理由に対しては、技術面の問題が大きく、きちんと腕がある職人が作れば切れることは無いとの回答もありました。
そば打ち体験
10:15~13:00
素人そば打ち段位有段者が、そば打ちを経験したことの無いひとたちに、手打ちそばの打ち方を教えるそば打ち体験が行われました。会場は員弁運動公園アリーナ(体育館)。小さめの鉢を用意し、500グラムのそばを打ちました。
いなべ市ではそばをテーマとした地域おこしを進めています。そばを生産するだけでなくそばを打つ人を育て、市民自らが「いなべの特産品はそばです。」と言える素地づくりを行っています。市内のそば打ち団体が行うそば打ち教室や親子行事でのそば打ち教室に参加したそば打ち体験者の数は8千人を超え、その中から素人そば打ちの段位取得に挑戦している方が100人近くみえます。
今回の新そば祭りでは、いなべ産の石挽きそば粉とつなぎ粉(小麦粉)の三重県産ニシノカオリを8対2の割合で混ぜた、二八そばのそば打ちを体験してもらうため、新そば祭りに出店している8団体の会員が講師となり、マンツーマンでそば打ちを指導しました。
午前、午後と2回に分けて行われたそば打ち体験は、午前10時の申込み開始と同時に満席となる盛況ぶりで、参加された方はそば屋と同じ本格的な手順の二八そばを打ちました。そば打ちに興味のある方、親子で参加された方など、みなさん楽しそうにそばを打ち満足していただきました。
この体験をきっかけにそば打ちを趣味にする方が増え、いなべ産そば粉の需要拡大に結びつくことを期待しています。
本格そば打ち道具販売
福島県会津若松市で本格そば打ち道具を販売する中村豊蔵商店【http://www.toyozo.com】が今年も出店。プロも使うそば打ち道具を販売しました。お店は出張販売にもかかわらず豊富な品揃え。鉢やそば包丁を始めプロからアマチュアまで幅広い顧客に対応したそば打ち道具が用意されており、そば打ちに関心ある方たちがが買い求めておりました。折しも11月22日にはいなべ市で初段と二段の段位認定会を開催。受験者が試験用のそば打ち道具について、店主に尋ねる姿も見られました。
なお、中村豊蔵商店は通信販売も行っています。
いなべ産新そば粉販売
いなべ市蕎麦生産部会が2014年秋に採れたばかりのいなべ産の新そば粉を販売しました。500グラム入りのそば粉を40袋と、いなべ産そば粉を8割使った乾麺を100束用意をしました。昨年の新そば祭りでは、そば粉は売れず乾麺が売れていましたが、今年はそば粉が午前11時までに完売し、さらに30キログラムの予約注文を受け付けるなど大盛況でした。
朝一番に訪れた方は、重たいので荷物になるからと帰りに買おうと寄ったら売り切れで残念がってみえました。 御自分で手打ちそばを打つと話されており、そば粉を予約して帰られました。
いなべ産そば粉は、市内にある農産物直売所いなべっこ【http://inabekko.mie1.net】やふれあいの駅うりぼう【http://www.net-uribou.jp】で販売される予定。購入希望の方は店舗までお問い合わせください。
その他の会場イベント
いなべ市商工会・いなべ市観光協会ふれあいバザーには、市内の商店が参加しいなべの特産品を中心に販売を行いました。また、子供向けイベントとして、クレヨンしんちゃんキャラクターショー/風せんのお姉さんバルーンアートMISA/いちご動物園/ 名古屋ちんどん屋べんてんやが参加。新そば祭りに彩りを添えました。
開催概要
日時 2014年11月9日(日) 午前9時30分〜午後3時
場所 いなべ市員弁運動公園(三重県いなべ市員弁町楚原936)
主催 いなべ市そば祭り実行委員会
後援 一般社団法人全麺協
協賛 いなべ市商工会、いなべ市観光協会
※第1回〜第4回のそば祭りの様子はこちら
新そば祭り開催動画
北勢地域のケーブルテレビネットワーク、CTYで放送された新そば祭りの様子がYoutubeに掲載されました。
次回開催に向けて
いなべの里新そば祭りの開催に関して、要望、改善点等ご意見をお寄せください。
掲載、更新履歴
2014年11月28日 掲載
12月3日 そば打ち体験を追記
2015年2月21日 関連動画を掲載